案山子(かかし)は竹や藁で作ったもので、作物を荒らす鳥や獣を追い払うための仕掛けである。田の神の依代であり、蓑や笠はお百姓さんを意味するのではなく、他界からの来訪者を意味する。古くは古事記あたりにその起源を見いだすことができるが、最近はあまり見かけない。
南条や今庄あたりではまだ見かけることもあり、地域でコンクールも開催されているようだ。したがって最近の案山子は田んぼの真ん中には立ってはいない。ひたすら道路脇に並んで通行人にこびを売る。一種のファッションショーである。中にはマネキンを用いたセーラー服スタイルの美人案山子もいるし、コロナ禍で話題のアマビエを模した新型妖怪スタイルの案山子も存在する。 (つづく)
(三田村 善衛)